『道化か毒か錬金術』への道。その一(新刊よろしく編)

11月1日に水城正太郎としての新作『道化か毒か錬金術』が出ます!
http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/bunkoblog/?p=31725

 

ってことなんですが、実はこれ、商業としては久しぶりの作品になります。その理由は「病気になっていたから!」なんです。闘病記がてら、ここに至るまでの経緯を数回にわたってざっと説明させていただきますんで、ボードゲームの話を休んで、ちょいとの間、お付き合いを。

 

まず病名。
鬱病!」
意外と普通だった。

 

とはいえ、今になって振り返れば、小学生時代から傾向はありました。とにかく眠る子供だったんですよ。個人経営のゆるく楽しい塾に通っていたわけですが、何があろうとも居眠りをするので「キミだけは授業中ガムを噛んでいてよい」とされていたほどで、現在なら発達障害のカテゴリーに入ることは確実だったでしょう。

 

自分でも就職に向いていないことはわかっていたので、ゲーム会社経由で作家を志望しました。決まった時間に出社できないことを理由に、勝手に睡眠環境を作った挙げ句に会社を作家になるための踏み台と公言するひどい社員でしたが、会社が潰れたタイミングとライトノベルの流行が重なり、小説を出すことはできるようになりました。

 

が、何本か執筆すると、やたら眠る発達障害の傾向と、寝る、書く、食べる、しかしない生活が重なり、スランプに陥ります。すでに発病していたと言えるでしょう。最もどうにもならなかった時期は『ハーフダラーを探して』(富士見ミステリー文庫)の執筆時期です。それでも内容はそこまでひどくないはず……! なお、すぐメタなことをしようとするとか、他ジャンルのスタイルを導入してわけのわからない方向にしたがるとか、小説全体の構造がパロディなのにそれを宣言しないことをネタにしてしまう、とかは、病気でなく嗜好のせいなので、『ネコのおと』とか『すてるがかち』(どちらも富士見ミステリー文庫)は鬱によって書かれたものではありません。

 

当然といえば当然なのですが、身体的な疲れと鬱は連動しています。仕事が少なくなると動けるようになってきたので、楽しく『せんすいかん』(HJ文庫)を書き、それを予定通り終えた後、「まぁ売れる作品を書いたほうがいいよね」という動機のもと『いちばんうしろの大魔王』に着手します。そこから激しいことになるのですが、そこはまた次回としましょう。続きもよろしく……。