発売前の『AQUA』をプレイ!

これがパッケージ

 ホビージャパン社様にて新作をプレイする機会に恵まれましたよ! 『AQUA』でございます! 2月発売のゲームです。せっかくですので、感想を書いて販促に繋げようかと。

 日本人なら誰もがラッセンと言ってしまうらしく、箱絵を見た瞬間に「ラッセン……ラッセン……」とささやきあう我々に「テストプレイヤーみんなそう言う」とのこと。懲りずに「エコ思想なら最高だな」と続けると、「エコゲーです!」と太鼓判。サンゴ礁で生態系を育てていくゲームとのことで、楽しくなりそう。

 六角形のタイルを一ターンに一回拾うというシステム。割と単純かと思いきや、カタツムリ(ではない)マーカーが戦略性を与えています。これはスタートプレイヤーマーカー。タイルの代わりにこれを拾うとそのターンではプレイが最後になりますが、次のターンにスタートプレイヤーというわけ。

これがスタートプレイヤーマーカーと初期ボード

 六角形を三分割したタイルに色が割り振られており、直感的に「これをつなげるんだなー」とわかります。同色で六角形にするとひとマスの生物がやってきます。紫だとヒトデ。「サンゴ礁の破壊者じゃん!」と海外で議論になったとかならなかったとか。

こうして並べてヒトデを召喚!

 問題はきっちり六角形を作らねばならないことで、はみ出してもそれは「サンゴ礁」という扱いになります。サンゴ礁は隣接した生物の点数をサンゴ礁分だけ余計に追加していいという効果。最後の点数を少し底上げしてくれます。

海のともだち。裏は絵が違う(効果はおなじ)

 生物がある程度固まって隣接したら、同型の巨大生物というか捕食者を召喚できます。これが点数がでかいので、基本的にはこれを早く集めるのがゲームの目的。タイルが重なっており、下に行くほど点数が下がっていきます。早いもの勝ちなのだ。

 このゲームで面白い点は、まず初期タイルが微妙に違っていること。これにより全プレイヤーが同じタイルを欲しがることが避けられており、楽しく独自のサンゴ礁づくりが目指せます。しかし、争いがないかというとそんなことがないのが面白いところ。この手のゲームにしては珍しく、他人への妨害がとても有効です! ターンに一回しか行動できないゲームは、多くの場合他人を妨害することに一手使うとめちゃくちゃ不利になります。そりゃあ数少ない自分のターンを無駄にするのだから当然です。ですが、本作では複数の色を伸ばせるタイルを用意しておくこととスタートプレイヤーマーカーが取れることにより、「この一色をかっぱらってしまえばあいつはクジラを作れない!」と「あいつにはスタートプレイヤーをやらん!」が成立しやすくなっています。実際、早いうちにスタートプレイヤーを取ってしまうのは実に良い戦略であり、さらに最終的に同点になってしまった場合、先行側になっていたプレイヤーの勝利です。これは実に合理的で、実際、今回のプレイではトップが同点でした。「同点の場合は?」「先行の勝ちです」に「え?」となったものの、後になって考えてみれば「ギリギリ同点かどうかわからない最終ターン前に点数を伸ばすかスタートプレイヤーを取るか」というギャンブルを生み出すルールなのでした。

右の黄色が痛恨のミス。そちらに伸ばせなくなった。

 最終的に自分は負けた側だったのですが、思い返すとなんと二ターン目でルールを間違えて黄色をサンゴ礁にしてしまった(六角形があればはみ出しても生物を置けると思っていた)ことが敗因で、その後のプレイは大きくハズレていなかったことが判明。そう、なんとランダム性は各ターンに公開されるタイルのみであり、タイルが公開されてしまえばそのターンの最適解(全員が平等に点数を伸ばすor先行プレイヤーだけ点数が伸びる)が存在するタイプのゲームなのです! しかも長期的には乱数が平均化されていくので、最終ターンまで考えれば、実はランダム性ほぼなし! しかも「最初にタイルは一枚だけ抜いて最後まで使用しない」というルールもめちゃくちゃ合理的です。(おそらく)同一のタイルが存在しないので、一つ欠けていることで「完全記憶が可能な人間が混ざっていたとしても同じゲームにならない」のです!

 というわけで、実はこのゲーム「ファミリーで楽しくサンゴ礁を作ろう!」という層から「ゲームは強い人が勝つ競技性が至高」という人まで楽しめる凄まじい作品なのでした。欠点は点数計算を間違えがちなことくらいですが、最終的に全員で順番に見ていくことで公平さも保たれますので、ルールブックと突き合せれば問題なし! かなりのオススメです!