『グレートスプリット:華麗なる分配』をプレイ!

 さて、今作は不思議なプレイフィールで大型作品に匹敵する満足感を短時間で得られてしまうお得でお洒落なゲーム。『グレートスプリット:華麗なる分配』の紹介。

かなり素敵なパッケージ

 大型の箱で一見するとビッグゲームなのだけれど、実のところやることはひとつだけ。

このボードですべて管理できる

 ボードにあるコレクションと勲章を増やし、右に向かってマーカーを動かす。それによって点数が決まるだけ! 富豪のコレクション自慢大会というフレーバーになっております。で、どうやって右に動かすかというと、カードのトレードでこれを行うわけです。

分配! それでグレートスプリットなのね。

 配布されるカードをスプリッターと呼ばれる自分の無印のカードで分けてから左隣のプレイヤーに渡します。もらったプレイヤーは右を取るか左を取るか決めるだけ! 自分もカードを渡されるので選択しましょう。最終的な手札は左隣が選択しなかった方プラス右隣からもらった選択したカードとなります。カードに書かれているのは何をいくつ増やすかだけ。そのマーカーを右に動かしていきます。簡単!

全体ボード。富豪なのに決算がある。

 ターン数は全体ボードに書かれている数だけ。黄色のラインは決算で、その際に得点を増すことができます。美術品は相場が動いていきます。なんとも簡単!

 今作で面白いのはカードの還流。左隣に取らせない限り、同じカードが手元に残り続けるシステムになっていますので、伸ばしたい数値を手元に残すか、流して次に賭けるかが悩みどころ。そしてそもそも隣が思った通りの分割を選んでくれるとは限らない。全体にカードが還流してくれなければ左右のプレイヤーとともに沈んでいくばかりなので隣に損をさせる選択ばかりしても意味はありません。カードが奇数になる回では隣が多い枚数を選ぶだろうと分割(5なら3と2)しますが、思惑がすれ違うとものすごい空振りに。
 素晴らしいアートワークと言語依存のないボードはイタリアの作品であることをビシバシ感じさせてくれます。コンポーネントのおかげて重いゲームを楽しんだ満足感もありながら、プレイは慣れれば一時間もかからないでしょう。キャラクター性も少しあるので、そこがやりこみ要素になっています。点数も成功したプレイヤー同士ならばかなりの接戦。カード一枚、得点一点が勝敗を分ける熱さがあります。

 しかし、難点もちょっと見逃せないレベルで存在することも併記しなければなりません。それは得点計算が複雑なうえ、得点の増加がすべてセルフジャッジとならざるをえないところ。誤魔化すつもりなら簡単ですし、そうでなくても間違えることはかなりありそう。マーカーが小さくボードが長いので、注意しないと「動かしたっけ?」が多発。さらにコインを獲得した際に生ずる「なんでも二個動かしていい」は失敗しがちです。もっともこれはデジタル版なら解消される問題。ボードゲームアリーナに課金すれば大丈夫です!

 いくらデジタルで遊べるとはいえ、凝ったアートワークと隣にカードを渡すときに用いる封筒がもたらす独特のワクワク感は実体あってのものですので、気になった方は手に入れてみてください。