その他ボードゲームの1

サクッと重くないボードゲームをいくつかプレイした話など。

『ラブレター』

まずは『ラブレター』。言わずとしれた名作。最低限のカードで面白さを生み出しているのがすごいところ。やりこみ要素はないものの、カード当ての快感が気軽に味わえます。

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これしかカードはないのだ。

 

展開しているカードから相手の手札を推測し記憶しておくというボードゲームの基本要素を学ぶにも最適です。

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プレイスペースもそんなにいらない。

 

『マンハッタン』

続いて『マンハッタン』。世界にビルを建てていくという妙なテーマのゲーム。ポイントは使用カードの意味がプレイヤーによって変わるところ。カードに記されたマス目をボードに対して正面に読み取るため、プレイヤーの座る位置で九十度ずつズレていくのだ!

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奥に見えるカードの位置にビルを置ける。

このゲームのもうひとつのポイントは、見ての通りホントにビルを積み上げること。高さが見てわかる! それだけで楽しいのです。

そんなわけでガチで勝ちに行くゲームではないのですが、「手札は使うカードより殺すカードをキープ」「ラウンドごとの点数が開かないようにプレイ」「スタートプレイヤーが巡回するゲームだが最初の三番手プレイヤーが有利」あたりが勝ち筋ですね。

テラフォーミング・マーズをプレイしました!

 プレイしましたよ噂の『テラフォーミング・マーズ』! いやー、素晴らしいゲームで、すっかり次のプレイをしたくなっております。噂では『テラフォーミング・マーズ』のみをグルグル回しているサークルも存在するらしく、「まだ十一回しかプレイしていないのですが」という素晴らしい言葉を他のブログでも見ることができました。

 

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火星のすがた

 

 私なんぞはまだ未プレイにも等しいですが、集めた情報から攻略のとっかかりを掴むことができましたので、「イマイチ楽しくプレイできないなぁ」と感じている方のために書いておこうかと思います。解説や企業毎の攻略などは検索するといくつも見つかりますので、そちらを御覧ください。

 

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めっさある企業たち

 

 で、これは何をするゲームなのか? が意外と気づきにくいポイント。言い切ってしまえば「ゲーム終了時に勝利点を一番多く持っておく」ゲーム。当たり前じゃないかと思われるでしょうが、さにあらず。この『テラフォーミング・マーズ』、ゲームの終了条件を満たしたターン(世代)で終了するため、どのタイミングで終了させるかはプレイヤーの駆け引き次第なのです! おまけに非公開情報は手持ちのカードのみ。勝利点はカウントしにくいものの全員が知っています! しかもクレジットが保つ限りターンは終了しません! すげぇ熱いですね。

 

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クレジットなどはメッキされたキューブで示されているのだ。

 

 さらにボード上に展開されるTR(テラフォーミングレート)は地球化の貢献度によって上昇するものの、一定以上の貢献はポイントを生み出さない有限なりソースです。プレイヤーは有限なものを奪い合っているわけで、序盤から他社にリードを許してしまうと逆転は難しくなります。

 

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盤面が進んでいくとこうなる。まだ勝手がわからないので、こんなんは過疎すぎるっぽいぞ。

 

 TRが勝利ポイントでもあるシステムは、つまりこのように考えることができます。「何クレジットが1勝利ポイントに換算できるか?」。標準プロジェクトのクレジットを基準にすれば、カードによりプロジェクトと同等の効果を発揮した方が得なのがわかってもらえると思いますが、そうなると悩ましいのが「生産量を増大させるアクション」の存在ですね! 例えば発電量の増大は標準プロジェクトでは11ですが、カードでは6。とはいえ、カード購入に3かかっていますので、得は2クレジットと簡単に計算できますが、考えなければならないのは、「増大した生産量の恩恵を何ターンにわたって受けられるか?」の方なのです。発熱量の増大は初期に実行できれば残り温度のターン数分のTR(1/8)に変換できますが、ゲーム中期であれば別の方法で勝利点を獲得する方に金額を回さないと損をするような数値設定になっています(排熱をクレジットに変換できるヘリオンでも実質損!)。いかにゲーム終了時をコントロールするか? その思惑のスキを突いていかに予想できない勝利点を掠め取っていくか? 本作のシステムはそういう楽しさを産みだしています。

 

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カードが並ぶだけで面白い。

 

 カードは拡張も入れるとめちゃくちゃな量になるのですが、がっつり記憶して奇跡のコンボや「ここしかない!」という使用タイミングを見つけていきましょう。どこまでも潜れるめちゃくちゃ深いゲームですよ! ここまでの重ゲームでは久々の大ヒットではないでしょうか。SF好きにもTCG好きにもソロプレイ好きにもオススメです!

 

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カードはこんくらいの山に! 

 

テラフォーミング・マーズ 完全日本語版

テラフォーミング・マーズ 完全日本語版

 

 

 

『ブリタニア』をプレイ

こちらマップです。f:id:S_Mizuki:20180902131601j:plain

 今回プレイしたのは『ブリタニア』。別版も出ているようですが元祖のアバロンヒル版です1986年のゲーム。ずいぶん昔の制作なのですが、意外に古さは感じませんでした。
 
 タイトルとマップからわかるように、ブリテン島が舞台。ローマの侵攻からノルマン・コンクエストまでの歴史を辿っていく(といいつつ民族同士が殺し合う)ものになっております。
 
 特色はプレイヤーの担当する民族がひとつではないこと。時代を経て消滅、あるいは登場する民族があるため、一時代に支配的だった民族の担当者はその他の時代は傍流となってしまった民族を同時に担当するという具合。勝利条件はポイント制ですが、ターン毎に計算するため、その経過はかなり凸凹。民族のポイントでなくプレイヤーが獲得したポイントは最終的にバランスがとれている、という構造となっています。
 『スモールワールド』に似てるかも、と思った方はそのとおりで、このシステムを採用したゲームを時代をさかのぼって列挙すると『スモールワールド』『ヴィンチ』『ヒストリー・オブ・ザ・ワールド』『マハラジャ』『ブリタニア』となっております。
 
 『ブリタニア』のプレイ自体は簡単。エリアにコマを進めて土地を確保、コマ同士がぶつかるとダイスを振って戦闘、負けた側のコマが消えるというだけ! ただし民族ごとに指定されたエリアでポイントが入るため、自然と史実通りの支配地域にならざるを得ないという構造になっています。

侵攻していくローマ!f:id:S_Mizuki:20180902131717j:plain

 民族ごとの特殊ルールが多く、例えばローマ人は戦闘が強いものの序盤で消え去ります。ゲルマン民族大移動に対応するため本国に帰るのです! そしてデーン人に追い出されたアングル人、サクソン人、ジュート人が上陸してくるという具合。ゲーム的なバランスより史実優先らしいのですが、ブリテンの歴史と地理に詳しくないとどのくらい正確なのかはよくわかりません! 当然、我々は詳しくない方なので「どういうこと……」となるシーンが多々ありました。アイルランド人とダブリナーズ(アイルランドのデーン人)がそれぞれ別のプレイヤー担当として散発的に攻めてきたり、ヴァイキングがデーン人、ノルウェー人、ノース人に分かれていたりと、実際の侵攻がそうだったのか、ゲームの都合なのか調べてみたくなるところではあります。

ピンぼけアーサー。なお瀕死。f:id:S_Mizuki:20180902131620j:plain

 なお日本で女体化されたり欧州で神格化されているアーサー王はローマン・ブリトン人(ローマ化されたケルト人)として登場。戦闘で無双した挙げ句、あっさりと滅びます。このゲーム、民族同化などルールにない! すべて優勢な民族に吸収されて滅ぶのです。
 
 このように決められた通りに進行していくため、退屈感があるのではないかと思われるこのゲームですが、まるでそんなことはなく、そこが独特のプレイ感につながっています。決められた通りにプレイしないと勝ちにつながらないのですが、その余剰として行った(あるいは行わなかった)ちょっとしたことで後の展開が大きく変わることがあるようで、そこが実に歴史を感じさせてくれます。ローマ人がウェールズ人をもっと追い込んだなら、とか、サクソン人がノルマン人に抵抗できたなら、とか諸々あることは初回プレイでも感じられました。
 
 一方で「古いゲームだな」と感じてしまったのは、戦闘解決がダイスであること。基本6が出たら殺せるみたいなアバウトさなので、頻繁に生じる一対一戦闘が理不尽な運に左右されます。今回のゲームではアイルランド人がほぼ何もできずに終了する(そういうバランス設定ではあるのですが)とか相手の二倍以上の余剰人口が出ないと隣国に攻めるのが運ゲー(こちらはバランス的に攻めなければならない)などがありました。
 とはいえ、大きな不満点はそのくらいで、強いて言えば民族ごとの特別ルールが多く間違えやすい、というくらいですが、そこも味なので、不満は少ない良作といえるでしょう。
 
 ちなみに、このタイプのゲームでは『ヴィンチ』と『スモールワールド』では戦闘が改善されていますが、そちらは歴史再現感がないため、本作は代替物のない面白さを持っていると言えるでしょう。
 
 なお『スモールワールド』は、このタイプのゲームの決定版で、戦闘が運になる部分が非常に少ないのですが、そのため実は自ターン開始時には「完全解がある!」ゲームなのです。簡単な例としては「侵入したそのターンに次プレイヤーから絶対に滅ぼされる種族が出てしまう(そのため滅ぼされる種族を選ぶのはダメなプレイ)」などが起こり得るため、上手なプレイヤーが勝つゲームとなっています。
 
 時代が進んだ結果、ガチプレイに至ってしまうというのは皮肉というか、なんというか。このように『ブリタニア』は、対立プレイでありながら協力プレイ、とでもいうべき不思議なテイストの和気藹々と楽しめる良作でした。わざわざ古いゲームをするだけの価値はあるでしょう。おすすめです。

 間が空くのもなんなので、さくっとエッセイ的に。

 
 個人的に昨今の困りごとは「わかってしまう」ことなのだと思っていて、それはどういうことかというと、例えば『どうぶつしょうぎ』というゲームがあるわけですが、これをプレイするより前に「完全解があるよ!」という情報に行き当たってしまう、というようなことです(なお後手必勝)。
 これは煎じ詰めれば、二マス上下「歩」のみの将棋が先手必勝で、三マス上下「歩」のみが後手必勝とでもいうようなもので、まぁ、うまく言えませんが、そういう「わかってしまう」が世の中には、ある。オセロは終盤近くの二手くらいのみ判明しておらず、チェスも遠からず完全解が……とか、「判明したとて、将棋盤を拡大すればよい」と将棋の羽生さんが言ったとか、まぁ余談はあるわけですが、ともかく、そのような。
 
 これがネットの普及のせいであるとか、そういう分析は別として、問題と思っているのは「最前線以外は価値がないと感じられてしまう」ことです。まぁ自分の内面だけの問題ならいいんですが、『どうぶつしょうぎ』なら、「真剣にどうぶつしょうぎプレイしています!」というブログって成立します? ってな感じです(実際『どうぶつしょうぎ』はコマが増えていきます)。
 
 この感じをどうすればいいのか? そしてそれがゲーム以外の分野にも適応できることなのか? そして、自分の興味の範囲である小説にも「最前線以外に価値がない感覚」が響いてはいないか? あたりが現在の悩みどころです。そこから主語を大きくして政治問題やなろう小説のゲーム性うんぬんについて話を持っていくこともできますが、陳腐なのでやめておきましょう(こういう態度も「わかってしまう」感じなのですが)。

 『センチュリー:イースタンワンダーズ』をプレイしましたよ!

センチュリー:イースタンワンダーズ 完全日本語版

センチュリー:イースタンワンダーズ 完全日本語版

 
 これは大航海時代のスパイス交易をテーマにしたゲーム! とはいえ、それはフレイバーであってゲームシステムとは意外と無関係。それでもリソースの変換と能力の獲得にRPG感があり、気分が盛り上がる一作となっています!
 

 
 タイルを組み合わせて海を作り、そこをプレイヤーの船が行くのです。タイルにはスパイスの変換が描かれており、これに従ってスパイスである木製のキューブを獲得するのだ!
 
 スパイスの変換には取引所の開設が必要! 取引所は自分専用で、他人と同じ場所に建てるとスパイス一個分のコストがかかる。この「スパイス一個」がポイントで、価値にかかわらず一個なのだ! スパイスの価値が安いターメリックでなんとかしたいが、そうもいかんときもあり悩ましいのです。
 

 
 開設した取引所の数で船の能力をパワーアップできるのだけど、この標準的タイル配置だと「収穫」アクション時に唐辛子を追加できるオプションが強力!紹介でなく、考察を書いていく本ブログとしては、そのあたりを少し掘り下げてみましょう。
 
 本作では最速で四枚の得点タイルを獲得したプレイヤーが勝利に最も近づきます。同着の場合のみ能力タイルのボーナス点数が機能すると考えてほぼ間違いないです。
 
 つまり無駄な行動がロスに繋がるわけですね。本作では移動と収穫があるため、無駄な行動は見えにくくなっています。移動して収穫してしまえば行動をしなかったことにはならないし、当座のタイル獲得まで近づいているわけですから。しかし! これと得点タイル獲得時に船倉が空になりがちなことが「あれ? 無駄な行動していないのに一ターン遅れてるような気がする……」という悩みを産みがちです。
 

 
 どうやらスパイスを変換するより、獲得した方が早い局面があることを見極めないといけないのです。ついつい自分好みの航路を作りがちですが、配置によっては収穫の方が港への移動分得をする可能性もあります。船倉やアップグレード能力に至っては、特殊な形状に海タイルを配置しないと効力を発揮しない様子。標準の組み合わせでしかプレイしないのであれば、どうやら獲得する必要はなさそうです。
 
 前作(というか連結して遊べる)『センチュリー:スパイスロード』はスタートプレイヤーが勝つのが一般的で、そこに運による逆転がある、というゲーム性でしたが、こちらは行動の最適化がポイントになっています! 重そうに見えて一回のプレイ時間は短いので、海の配置をガンガン変えて遊んで、いろいろな局面を楽しみましょう!

 『可愛げ資本』などとぶち上げましたが、それは、なんとなくの造語。ですから、その言葉の説明に入る前に、前回書いた状況をさらに追認してみることが必要でしょう。

 
 我々(おそらくはネット上の発表を営業としている全員)は、もはや、なんであれ「何かあったときに守ってくれる集団」に所属することはできないだろう、と私は考えています。もちろん家族や友人がおり、彼らの愛を疑ってはいない方も多いでしょうが、もし炎上が起こったならば、「俺はお前の友人だが、お前が黙らないと守ってはやれない」とか「苦しいだろうが、今は黙って嵐が過ぎるのを混て」という親身ではあるものの「黙れ」という代償を要求しているのだと感じられる言葉が出てくることは想像に難くありません。まぁ無償の愛を要求するな、といえばそれまでなのですが、かつての会社、あるいはギョーカイというのは、それらを許容していた、というか表に出さないものとして処理していた、ということです。今は個人の情報発信が簡単になったからどうにもならん、というわけです。
 
 現在の炎上は「ポリコレ的に問題」な発言をきっかけに起こることが増えていると感じられます。個人の発言にポリコレが過剰に求められることについての良し悪しの判断は保留するとしても、現実の事例を数え上げることも簡単である以上、現実と受け止める他はなさそうです。炎上について書くのは本題ではないので、軽く流して次の機会に譲るとして、ここで重要なのは、ポリコレが進化した結果、炎上しない人はいなくなっていく、ということでしょう。誰もが過去の冗談を抜き出されてしまっては炎上不可避! というだけでなく、自虐だけしていようが自分が弱者だろうが、誰もが怒られる側であり、怒る側にもなり得る、わけです。気を使っていても誰かを攻撃してしまうし、誰かから攻撃もされてしまう。
 
 そんな時代を否定するでもなく、楽しんで発言していくにはどうしたらいいか? そこで私が提唱するのが「可愛げ」でネット世界を満たせ! ということ!
 
 「なんか可愛げある」という人物、あなたのまわりにもいるはず。この「可愛げ」は性別はおろか、美醜とも無関係。性格、自分が持って生まれた属性や、ハマっている趣味やスタイルとも無関係です。言っている内容とは無関係に「なんかカワイイ」それが可愛げです。
 
 「可愛げ」はポジティブなことを言っている時に多く発せられます。好きなものについて語っていたり、好きなことをしていたり。それらを積み重ねることであなたの『可愛げ資本』は積み上がっていきます。
 
 さらにその資本は他人に分け与えられたり、共有することができます。誰かとキャッキャウフフすることにより、それは減ることなく増え続けます。友人であれ、通りすがりの人であれ、キャッキャすべきということです。そうしていれば当人たちでなく、やり取りを見た人が「資本を感じる」わけです。
 
 ネット上の人格が可愛げを増していくにつれ、それは自分業界を維持する力になってくれることでしょう。それは炎上を避けることには繋がらないものの、炎上後の再起を願う際には力になってくれるものと思います。
 
 「そりゃコミュ力が大事だって言ってるだけじゃね?」いや、それはそうなんですが、コミュ力は明確に暴力的なパワーとして扱われるケースが多数かと思います。飲み会の強制とか、場の空気の押し付けとかですね。可愛げは、文字コミュニケーションであるネット上でだけ通用する概念として提唱しています。ネット上だけの人格を作るのは維持が難しいですが、自分の性格から可愛げのある部分を発見していく、という感覚ですね。
 
 我々はもはや誰もが差別される可能性のある要素を抱えており、誰も傷つけずに発言することは不可能なネット世界に生きています。だからこそ、我々は何度でも再起しなければならないのです。賢く、強くあることを目指すより、可愛げのある存在であることを目指せば、現状ではより再起しやすいことでしょう。いずれは、この可愛げ資本ですら権力とみなされ攻撃される時代も来るでしょうが、それまでは……。
 
 要するに「みんなで人気者になるべし」「バーチャルな肉体を活用すべし」と言い換えれば、普通のことを言っているだけですね。おじさんたちがカワイイというムーブメントが起きている今、誰であれ「可愛げ」によってイケる土壌ができています。
 
 おじ、おば、よ、可愛げのある人であれ!