創作の裏側

 商業創作の裏側について語りたいという気持ちは自分にもあるのだけれど、エンタテイメント傾向の強い創作物でそれをやってしまうとお客さんにとって良くないこともあるのだ、と最近思うようになったわけです。
 ガチャピンがすげぇことに挑戦するのを見て「きぐるみを着てあんなことをする中の人の技量」に感動することや、「周囲で安全性を確保するスタッフのチームワーク」に感動することが間違っているとは言わないけれど、虚構にのめり込む楽しみを疎外してしまうのは確かなのであって、背後にある仕組みを開陳する際には、せめて場所を選ぶべきだと思います。少なくともファンの求めに応じてやるべきではないし、まして他者の子供向け作品の仕組みを読み解いて見せるなど愚行以外のなにものでもないでしょう。
 ある程度、商業的な創作を続けると、他者の作品の裏側――簡単に見えてすごいテクニックが使われているとか――がわかるような気になるのは確かですが、それを公開する場所の検討が行われていなければ「テクニックが理解できる自分自慢」にしかなりません。
 そして創作者がそういった公開場所を検討するか自ら作成するプロデュース能力を持っていなくとも裏側の公開を手頃にやってしまえるネットというのはその点でまことに恐ろしいと思います。
 創作の裏情報が公開されたことで確実に狭められてしまった表現もあるのだ、と個人的には思います。そして、俺はそういう表現こそが好きだったのです。というわけで愚痴でした。