このように宣伝をしていて困るのは、自分が購入する側になったとき何を判断基準にしているかよく知っているため、「とにかく目につくために広告回数が多くなくてはいけない」とか「作家は書店員に積極的に話しかけていったほうがいい」とか、あげくは「自己啓発本やダイエット本のような手法でやれ」というよく語られる方法論を有効だと知りつつも、自分がそういう広告をされてしまったら絶対に買わないと考えてしまい、単純な広告にも躊躇してしまうところです。
ちなみに、広告をしやすい作品というのは、買っている人がなんか自分が偉くなったような感じがしたり、どこかのコミュニティに所属したような気になる、そんな要素のある作品でして、前に語った通り、自分は“埒外”なので、どうにもそこが弱い。本作は特にそうでしょう。『道化か毒か錬金術』を読んで笑っていると孤立する、とか言われたくないですよねぇ……。
ともあれ、すでに心の奥になにか深刻なものを抱えている人には響くかもしれません。読むことで人生が変わる……かどうかは知りませんが、良かれ悪しかれなんらかの影響があるように祈りつつ書いていた作品なので、まずは明日、よろしくお願いしますというところです。