『道化か毒か錬金術』事前解説

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発売日は11月1日

さて、発売日も迫ってきた『道化か毒か錬金術』。買おうかどうか迷っている方、あるいは試し読みを読んだ上で「これはどう楽しむもんなのか?」と戸惑ってしまった方に向けての解説となっております。

【新シリーズ】道化か毒か錬金術 | HJ文庫公式Webサイト

試し読みがまだの方は上のURLを。

さて、埒外(らちがい)という言葉があります。まぁ枠から外れることという意味なんですが、あまり良い意味で使われることはないように思います。選考にすらかからないというニュアンスで使われることが多いからですね。そのあたり、我が執筆人生を表しているかのような言葉です。埒外とは、正道でない、ということではありません。正道でない作品は、その邪道ぶりによってそれを好むファンの傾向もわかるわけですが、埒外においてはその作品のファンになんらかの傾向があるとはとても思えない。例えば、「萌え作品好きな人はこんなの好きでしょ?」とか「特撮好きにお薦め」みたいなことがまるで言えないのが埒外というわけです。

本作『道化か毒か錬金術』は完全に埒外です。八十年代の少女漫画パスティーシュではありますが、もちろんそれを知っていることが必須ではありません。ライトノベルではありますが、その文法はまるっきり使っていません。冒険小説ではありますが、核心部がギャグに寄りすぎでしょう。

というわけで、読んだ方の戸惑いも、こちらとしては理解できないわけじゃないのです。とはいえ、その“埒外”作品だからこそ、“あなた=読者個人”に直接お薦めできるというわけです。自分をヲタクだとか腐女子だとか規定してしまえば、そのジャンルの作品はいろいろ目に入ってくるでしょうが、自分を規定したくない人にとっては、それではしっくりくる作品はないのではないでしょうか? そんなとき、埒外のこの作品がお薦めできると思います。

無駄知識ばかり覚えていて、社会の役に立つことが嫌いで、どこかに所属することを嫌悪している人にこそ読んでほしい作品です。

そんなわけで、あなたがどれだけ自由か試される本作を、どうぞよろしく。