がっつり作品の元になったイメージや事物について語っております!
八十年代のスパイ漫画ブームから、魔夜峰央、佐々木倫子、那州雪絵、青池保子、かわみなみ、あさぎり夕など諸先生方のお名前を出させていただいて、少女漫画の影響のお話しです。わかつきめぐみ先生についても語っておくべきだったか……。
というわけで、『007』『キングスマン』『それゆけスマート』など普通の洋画風アクションの面白さだけでなく、あの時代の少女漫画の面白さと自由さをお若い方にも、というインタビューでした!
このように宣伝をしていて困るのは、自分が購入する側になったとき何を判断基準にしているかよく知っているため、「とにかく目につくために広告回数が多くなくてはいけない」とか「作家は書店員に積極的に話しかけていったほうがいい」とか、あげくは「自己啓発本やダイエット本のような手法でやれ」というよく語られる方法論を有効だと知りつつも、自分がそういう広告をされてしまったら絶対に買わないと考えてしまい、単純な広告にも躊躇してしまうところです。
ちなみに、広告をしやすい作品というのは、買っている人がなんか自分が偉くなったような感じがしたり、どこかのコミュニティに所属したような気になる、そんな要素のある作品でして、前に語った通り、自分は“埒外”なので、どうにもそこが弱い。本作は特にそうでしょう。『道化か毒か錬金術』を読んで笑っていると孤立する、とか言われたくないですよねぇ……。
ともあれ、すでに心の奥になにか深刻なものを抱えている人には響くかもしれません。読むことで人生が変わる……かどうかは知りませんが、良かれ悪しかれなんらかの影響があるように祈りつつ書いていた作品なので、まずは明日、よろしくお願いしますというところです。
さて、発売日も迫ってきた『道化か毒か錬金術』。買おうかどうか迷っている方、あるいは試し読みを読んだ上で「これはどう楽しむもんなのか?」と戸惑ってしまった方に向けての解説となっております。
【新シリーズ】道化か毒か錬金術 | HJ文庫公式Webサイト
試し読みがまだの方は上のURLを。
さて、埒外(らちがい)という言葉があります。まぁ枠から外れることという意味なんですが、あまり良い意味で使われることはないように思います。選考にすらかからないというニュアンスで使われることが多いからですね。そのあたり、我が執筆人生を表しているかのような言葉です。埒外とは、正道でない、ということではありません。正道でない作品は、その邪道ぶりによってそれを好むファンの傾向もわかるわけですが、埒外においてはその作品のファンになんらかの傾向があるとはとても思えない。例えば、「萌え作品好きな人はこんなの好きでしょ?」とか「特撮好きにお薦め」みたいなことがまるで言えないのが埒外というわけです。
本作『道化か毒か錬金術』は完全に埒外です。八十年代の少女漫画パスティーシュではありますが、もちろんそれを知っていることが必須ではありません。ライトノベルではありますが、その文法はまるっきり使っていません。冒険小説ではありますが、核心部がギャグに寄りすぎでしょう。
というわけで、読んだ方の戸惑いも、こちらとしては理解できないわけじゃないのです。とはいえ、その“埒外”作品だからこそ、“あなた=読者個人”に直接お薦めできるというわけです。自分をヲタクだとか腐女子だとか規定してしまえば、そのジャンルの作品はいろいろ目に入ってくるでしょうが、自分を規定したくない人にとっては、それではしっくりくる作品はないのではないでしょうか? そんなとき、埒外のこの作品がお薦めできると思います。
無駄知識ばかり覚えていて、社会の役に立つことが嫌いで、どこかに所属することを嫌悪している人にこそ読んでほしい作品です。
そんなわけで、あなたがどれだけ自由か試される本作を、どうぞよろしく。