私のデビュー作である『東京タブロイド』が全巻電子書籍化されます!
本作は2001年に富士見書房より出版された作品で、長編が九巻、短編集が三巻発売されました。長編でストーリーは完結しており、まとめて読むのに適したボリュームです。是非とも全巻お揃えくださいと強く叫ばせていただきます!
まずは直下に一巻のリンクのみ、全巻リンクは別記事にまとめさせせていただきますので、そちらからご購入ください。
概要
舞台は戦後まもなくの日本。真面目な少年がひょんなことから新聞社に就職することになります。ところがそこは幽霊やらUMAやら妖怪やらの超常現象を肯定する記事を一面に据えるタブロイド紙を発行しており、オカルト否定派の少年としては困惑するしかありません。しかも社員は一癖ある美少女ばかり。取材する事件も超常現象が実在するとしか思えないもので……というミステリー仕立ての冒険小説となっております。
ヒロインはオカルト信奉者で、そっち方面においてはちょっとおかしくなる女の子。敵役というか狂言回しに世界をオカルト(猟奇的)にしたい異常者を配したコメディであり、当時流行のライトなハーレムものでもあります。
富士見ミステリー文庫創刊第二弾(だったはず)ラインナップに紛れ込み、ライトノベルにおけるミステリーを模索していたレーベルにおいて「まぁそんなら江戸川乱歩の少年探偵団シリーズじゃろ」という軽いノリでスタートした作品で、日本なら東京スポーツ、海外ならザ・サン等のタブロイド紙のオカルト記事が大好きだったため、そういうネタを各巻ごとに散りばめております。「アメリカ大統領が宇宙人と面会!」とか「カッパ生け捕り!」とかそういうやつですね。
現在でも気軽に楽しく読める作品……のはずです!
こんな人におすすめ
というわけで、少年探偵団をはじめとする昭和初期の雰囲気が好きな人、与太話含むオカルト全般大好きな人、平成のラブコメにとらわれている人などに特におすすめとなっております。校正で読み直したのですが、オカルトネタは現代でもほぼ変化がない(それはそれでオカルト業界の方がどうかと思う)ため小ネタ等は今でも通じるのが驚きです。一巻ではチュパカブラが扱われていますし、続刊ではアブダクションだの東京の地下通路だの今も変わらぬ都市伝説が登場。短編でもモギィー(詳細がよくわからないマイナーUMA)はセミレギュラー化するし、ひきこさんに短編一本使うなど、当時先端のネタが多数あります。
乱歩を中心としたミステリパロディ方面では館モノだの八つ墓村だの電人Mだのが扱われており、自分でもなにを書いたかすっかり忘れている始末でした。
もちろん当時、最初の方だけ読んでいた方もラストを確かめるという意味でおすすめです。あの頃の感覚を思い出したり、当時はわからなかった小ネタに気づいていただければと思います。
それでも二十五年前ですから……
ですから是非とも万人にお読みいただきたい! ……と考えてはいるのですが、それでも書かれたのは二十五年前、文章技術についてはおいておくとしても、ヒロインが主人公をぽんぽん殴っていたり、倫理についてズレた面があるのも事実。あえて古くした舞台であり、むしろ古い表現を目指したところもあるのですが、そのあえてでない部分は完全に歴史のこととしてお読みくだされば幸い……というところです。あとがきもそのまま収録しており、そちらの方がより時代を感じるかと思います。当時はこういうノリだったわけですよ。
時代感について
二十五年前、ライトノベルとの呼称が一般的になりつつある頃で、電子化は主流ではありませんでした。初版数は二万部が一般的で、それに重版がかからないと失格、という風潮。秋葉原がライトノベルの街でもあり、全体のかなりのパーセンテージが秋葉原の店舗で売れていく。そういう時代でした。
長編を書き下ろし、同じ舞台で短編を雑誌『ドラゴンマガジン』に書く方式も富士見書房刊行作品では一般的でした。年に三冊から四冊、短編連載を並行して行う、という具合だったかと思います。後半は疲れから精神が病み気味であることが感じられますが、そこも今ではひとつの面白さだろうと開き直っておきます。書き下ろしとて連載みたいな感覚で書かれておりますので、たとえれば現在のネット掲載を書籍化する際に修正が入っていないかのようなライブ感があります。そこを尊重して、今回の電子書籍化では修正は誤字のみとなっております。
電子書籍化に際して
事実関係は不明ですが、『東京タブロイド』初期では版下が電子書籍フォーマット化されていない時期だったと認識しており、これまで電子書籍化はされておりませんでした。ですが、後に一部のみ電子化されたカタログ等があったのか、一巻、二巻についてのみ電子書籍化の契約が締結されており、それに伴い今回、『東京タブロイド』を含む自作の版権を『十六夜聖域』を除きKADOKAWA様より引き上げさせていただいております。以後版権は個人管理となりますので、よろしくお願いいたします。
謝辞
電子書籍化を進めてくださったアドレナライズ様、イラスト掲載をご快諾くださったしのざきあきら様に特に感謝申し上げます。ご厚意によりイラストは当時のデータが発見されたものにつきましては雑誌掲載のものも再録させていただいております。全体掲載は初かと思いますので、読者の皆様はご堪能ください!
