ここでボドゲ話がようやく。

 
 『Scythe 大鎌戦役』をプレイしました!
 
 すでに重ゲーム(でかい、プレイ時間が長い、等の意味)として有名ですが、名作の呼び声高く、熱心なファンも多数というイカした作品です。
 人間との比率がわかる写真でそのサイズをご実感ください。
 

 
 ゲーム内容は現実に沿った架空世界の第一次世界大戦後。ファクトリーと呼ばれる謎の国家が先進技術をばらまいた後に鎖国。世界各国のリーダーはファクトリー周辺の覇権争いに駆り立てられていく……。という渋いものです。
 
 私はソヴィエト連邦がモデルとしか思えない国家を担当。超技術であるメックと呼ばれるロボットがザクレロっぽい鎌が手になっているデザインだから選びました!
 見よ、この勇姿!
 

 
 ついでにボードを見たいただくと、複雑な行動システムが簡潔に示されていることがおわかりいただけるかと思います。設計思想含めてカッコいいねー。
 
 進行は資源をワーカーで生産して様々な建造物を建築、ワーカーをメックで運び、ついでに戦闘、という流れ。勝利条件は共通の項目を達成した場合、星マーカーをボードに置け、一定数になったら全体でポイント計算、いちばん多い人が勝利というシンプルなもの。
 
 肝になっているのが戦闘で、戦闘に勝ってもリーダーへの民衆の支持が下がることになっております。実際、戦闘がやり放題だと星マーカー6つで勝利のところ、2〜3まで余裕で達成となってしまうので、誰にとってもジレンマとなっているわけです。最後の点数計算は民衆の支持で倍率がかかる計算になっているので、どうあれ支持がないリーダーは最後に負けることになっているわけです。試していないけど、戦闘国家が荒らし回ると全国家の支持率が低迷して低ポイントで争うゲームになるのかもしれません。
 
 

 このゲーム固有のシステムや世界設定その他に興味がある方は多々あるサイトをタイトルで検索していただくとして、ここではこの手のゲームにおけるセオリーとより楽しめる考え方、勝ち方について書いていくとしましょう。
 
 この手の、というのは複数国家が内政をやったり戦争したりするゲーム、ということになります。他タイトルだと『シヴィライゼーション』が近いですね。意外なところでは『アグリコラ』なども考え方としては同じものになります。各プレイヤーがほぼ同条件からスタートし、最終的にポイントを比較して勝敗を決定する、というものであれば共通するセオリーがあります。
 
●すべてのターンで他人に遅れを取るな!
 すべてのターンで、というのが誇張に聞こえるかもしれませんが、本当に第一ターンから他人より遅れてはいけません。ごく当たり前のこととして、ゲームなのだから勝てないプレイヤーが出るようにデザインされていることは稀です。ゲームデザイナーを信用してプレイしましょう。
 あとで逆転するとか、華麗な奇襲などで勝ちたい気持ちがある方も結構な数いらっしゃるでしょうが、それをするためには序盤で遅れを取らないことが最も重要です。中盤以降に自由度が出てくるデザインになっている場合が多々ありますので、逆転は中盤以降というのも鉄則。
 自分のターンに一歩も進展していない行動が起きてしまった場合、他人のプレイをよく観察しましょう。そのあたりでどのプレイヤーも進展しない停滞が用意されている場合も多いです。そうでなくとも、自分のプレイミスが明確でないのなら、他人もその前後のターンで進展していないことでしょう(全員がミスをしやすい局面もあります)。
 
●戦争は遅延行為!
 この手のゲームだと、他人に戦闘を仕掛けられる場合が多いです。戦争でなくとも、他人を妨害する行動が許容されているのなら、それは戦争と同じだと考えてください。嫌がらせだから同じ、なのではありません。戦闘や妨害は、ターン進行を全体に遅延させる行動だ、という意味で同じなのです。
 他人に遅れを取るな、とある以上、特定プレイヤーのゲーム進行を遅延させるのはアドバンテージとなります。相手が不快に思うだろう、という理由で遠慮するのはかえってゲーム全体を楽しくしない場合もあります。
 そのあたりのゲームでのマナーはまたいずれ書くとして、妨害はトップを走っているプレイヤーを引きずり下ろすための手段なのですが、重要なのはそれを行ったプレイヤーもターンを無駄にしている! という部分です。
 相手の国力を高める生産を戦闘を仕掛けることによって損なえる……のですが、戦闘を仕掛けている自分はそのターンの生産を行えないですよね。そして、一度損害を与えても、相手が報復戦闘を仕掛けてくるとは限らず、相手は生産を続行して即座に穴を埋めてしまう。つまり自分がマイナス1で、相手がプラス1のはずが0になった……というのが多くのゲームにおける戦闘のデザインです(もし戦闘が追加行動で行えるようなゲームであれば、それは毎ターン戦闘するゲームであるということです)。
 戦闘については勝利条件でない限り、上記のことを踏まえて慎重に! 戦闘の勝利はゲームの勝利ではありません。
 
●ポイント計算を素早く!
 最後に行われるはずのポイント計算を事前にしておくことは重要ですが、ゲームによっては禁止されています。『Scythe 大鎌戦役』では「ポイント計算を事前にしてゲームを遅延させた者の支持率を下げて良い」というルールがあるほどです。
 言い換えれば遅延しない程度でポイントを計算しなければならないわけです。この勘所が悪いとゲームが面白くなくなる場合すらありますので、概算というか感覚で計算できるようになっておきましょう。それができると、そのゲームに習熟したということになるかと思います。
 ポイント計算が行えると初期のターンから自分の行動が何ポイントを生み出しているかわかるようになるのが利点です。この計算が早くなると他人の行動もポイント化できますね。何度もプレイするゲームで上達したいと思っているなら、そこに気をつけることで飛躍的に勝てるようになります。
 このタイプのゲームの多くはプレイヤーの行動が公開されています。全員の狙いと獲得ポイントは丸わかりなのです。それが理解できているかどうかで楽しみ方も大きく変わりますよ!
 
●他のプレイヤーが間違った時は……。
 ゲームに習熟してくると、どうしても他のプレイヤーが間違った行動をしたことが理解できるようになってきます。「現状で最下位なのにトップ以外のプレイヤーに戦闘を仕掛けてしまった」などはここまでお読みいただければ何がまずいのかおわかりかと思いますが、習熟していないプレイヤーとの卓の場合、けっこうな頻度で起きてしまいます。
 そんなケースがあった場合、指摘するのは得策ではありません。逆の場合を考えてもらえればわかると思うのですが、有益な指摘であっても感情的にならずに受け入れるのは難しいことですし、何よりそのゲームが上達したいと思ってもらわないと意味がないからです。

 この写真から分かる通り、最近のゲームは「勝利を目指さなくとも参加してボード上のものを動かしているだけで楽しい」のです。その楽しみ方の間口は広く、勝利を目指すのが面白くなるのはゲームをしゃぶり尽くしてからなのです。
 「その人のやりたいことを妨害しない、けなさない」を原則とし、相手が勝ちたくなるまでゲームを共に楽しむのが良いと思います。
 
 以上、『Scythe 大鎌戦役』の紹介と一般的なゲームの楽しみ方の指針でした。
 
 「他のプレイヤーが間違った時……」はもう少し語るべきかと思うので、次回、知っている人が多い麻雀をベースに諸々書いていこうかと思います。